○西はりま消防組合救急規程
平成25年4月1日
消防長訓令第17号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 救急隊(第3条―第7条)
第3章 住民等の指導(第8条)
第4章 出動(第9条―第11条)
第5章 救急資器材の配置等(第12条―第14条)
第6章 救急活動等(第15条―第32条)
第7章 感染防止対策(第33条―第37条)
第8章 関係機関との連絡調整(第38条)
第9章 報告及び調査(第39条―第42条)
第10章 雑則(第43条―第45条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)に規定する救急業務の活動に関する必要な事項を定めるものとする。
(1) 救急業務 法第2条第9項に規定する業務をいう。
(2) 救急事故等 救急業務の対象となる事故及び疾病をいう。
(3) 救急活動 救急業務を行うための活動又は医療器材等を搬送する活動で救急隊の出動から帰署(所)までの一連の活動をいう。
(4) 高規格救急自動車 道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)に規定する緊急自動車の基準に適合し、救急業務を行うために、一定の構造及び設備を有する自動車で、救急業務実施基準(昭和39年自消甲教発第6号。以下「実施基準」という。)第6条に規定する応急処置を行うために必要な構造を有するものをいう。
(5) 救急救命士 救急救命士法(平成3年法律第36号。以下「救命士法」という。)第2条第2項に規定する者をいう。
(6) 消防指令センター 管制業務を行うため本部に設けられた人的物的施設の一体をいう。
(7) 医療機関 医療法(昭和23年法律第205号)第1条に規定する病院及び診療所をいう。
(8) 特定行為 救命士法第2条第1項に規定する救急救命処置をいう。
(9) 転院搬送 医療機関に収容され、治療を受けている傷病者を他の医療機関において治療するために、当該収容医療機関の要請に基づいて行う搬送をいう。
(10) 転送 救急隊が救急現場から一旦医療機関へ搬送して応急治療を受けた傷病者を他の医療機関において高度又は専門医療を受けるため、引き続いて行う搬送をいう。
(11) 高速道路等 高速自動車国道法(昭和32年法律第79号)第4条第1項に規定する高速自動車国道及び道路法(昭和27年法律第180号)第48条の4第1項に規定する自動車道をいう。
第2章 救急隊
(救急隊の編成)
第3条 消防長は、救急救命士及び救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)第5条第2項に規定する救急隊員をもって救急隊を編成するよう努めるものとする。
2 消防署長は、前項の救急隊を、隊長及び隊員2人以上をもって編成するものとする。ただし、転院搬送において、当該医療機関に勤務する医師、看護師、准看護師又は救急救命士が同乗する場合に限り、救急隊員2人をもって編成することができる。
(救急隊員の任務)
第4条 隊長は、上司の命を受け、隊員を指揮監督し、救急業務を円滑に行うように努めなければならない。
2 隊員は、隊長の指揮の下に相互に連携し、救急業務に従事するものとする。
(出動時の救急隊員の服装)
第5条 救急隊員は、救急業務に従事するときには、常に身体及び服装を清潔にするとともに、出動するときには、安全及び感染防止に努めた服装とする。
(救急隊員の心得)
第6条 救急隊員は、救急業務に関する法令の規定のほか、次に定める事項を遵守するものとする。
(1) 救急業務の重要性を自覚し、救急に関する知識及び技術の錬磨向上に努めること。
(2) 傷病者の取扱いに当たっては、懇切丁寧を旨とし、傷病者に羞恥又は不快の念を抱かせないよう言動に注意すること。
(3) 業務上知り得た秘密をみだりに漏らさないこと。
(4) 救急用資器材の保全に努めるとともに、その使用に際しては適正を期すること。
(救急隊員の研修及び訓練)
第7条 消防長は、救急隊員の資質の向上を図るため、毎年4月に救急業務に関する研修及び訓練(以下「研修等」という。)の指針を示すものとする。
2 消防署長は、前項の指針に基づいて研修等の計画を樹立し、救急隊員に対して必要な研修等を実施するものとする。
3 救急隊員は、前項の計画に基づく研修等のほか、救急業務に必要な学術的知識及び技能の修得又は向上のため、自己啓発に努めるものとする。
第3章 住民等の指導
(応急手当の普及業務)
第8条 消防署長は、住民に対し傷病者を応急に救護するために必要な知識、技術及び救急車の適正な利用についての普及に努めるものとする。
2 前項の応急手当の普及に関しては、別に定める。
第4章 出動
(救急隊の出動)
第9条 消防長は、救急事故等が発生した旨の通報を受けたとき又は救急事故等が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所、傷病者の数及び傷病の程度等を確かめ、直ちに所要の救急隊を出動させなければならない。
(消防指令センター及び関係機関への連絡)
第10条 救急隊は、消防指令センター、医療機関及びその他の関係機関等に連絡する場合は、無線電話、有線電話及び携帯電話等を活用するものとする。
2 救急隊が行う消防指令センターへの連絡事項は、次に定めるとおりとする。
(1) 救急事故等の概要
(2) 傷病者観察の結果
(3) 応急処置等の概要
(4) 搬送先
(5) 病院交渉状況(病院選定要請を含む。)
(6) その他隊長が必要と認める事項
(事故等の緊急連絡)
第11条 隊長は、高規格救急自動車の出動時の事故又は故障その他の理由により出動できない場合においては、必要な措置を行った後、直ちにその概要を消防指令センターに緊急連絡しなければならない。
第5章 救急資器材の配置等
(高規格の救急自動車の配置)
第12条 消防長は、各署所に高規格救急自動車を配置するものとする。
(救急自動車に備える資器材)
第13条 消防長は、救急資器材の需要状況を把握し、実施基準に基づき適正な配備に努めるものとする。
(救急資器材の点検等)
第14条 隊長は、救急活動を円滑に行うため、救急資器材を毎日点検し、機能の保持に努めるものとする。
2 隊長は、救急資器材が故障又は使用できないと認める場合は、直ちに消防署長に報告するとともに、必要な措置を講じるものとする。
第6章 救急活動等
(救急活動の原則)
第15条 救急活動は、傷病者の観察並びに必要な応急処置及び特定行為を行った後、傷病者の症状に適した医療機関に速やかに搬送して救命救護を図ることを原則とする。なお、応急処置等の実施に当たっては、傷病者及び関係者に対し症状、応急処置等について説明し、同意を求めるものとする。
(応急処置の実施)
第16条 傷病者に対する観察及び応急処置は、救急隊員の行う応急処置等の基準に基づき的確に行うものとする。
(特定行為の実施)
第17条 救急救命士が行う特定行為を実施する必要がある場合、救命士法の定めるところにより医師の具体的な指示を受けて行わなければならない。
2 救急救命士が行う特定行為の活動要領は、救急活動プロトコル(中播磨・西播磨地域メディカルコントロール協議会策定)によるものとする。
(口頭指導)
第18条 隊長又は情報指令員は、救急要請時における現場出動途上において、現場付近にある者に対し、応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
(医療機関の選定)
第19条 隊長又は情報指令員は、傷病者の観察結果及び医療情報等を総合的に判断し、医療機関の選定を行うものとする。
2 隊長が医療機関を選定する場合には、第10条第2項に規定する連絡を行うものとする。
3 隊長又は情報指令員は、医療機関の選定に当たり、搬送先医療機関の受入れ診療体制を確認するものとする。
4 隊長は、傷病者又はその家族から掛かり付け等特定の医療機関へ搬送を依頼された場合は、救急業務上の支障の有無を判断し、医療機関及び消防指令センターと緊密な連絡をとり、依頼された医療機関に搬送することができるものとする。
(医師要請)
第20条 隊長は、救急事故等の現場において、次の各号のいずれかに該当する場合は、直接又は消防指令センターを通じて医師を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1) 意識不明等重篤の傷病者で、搬送することによって症状が急変悪化するおそれのある場合
(2) 傷病者の救助に当たり、救出作業に時間を要し、かつ、医師による診療が必要と認められる場合
(3) 激痛を伴う傷病者で、鎮静しなければ搬送不可能と認められる場合
(4) その他救急業務を遂行する上で医師による診療が必要と認められる場合
(警察官の要請)
第21条 隊長は、次の各号のいずれかに該当する場合で、救急事故等の現場に警察官がいないときは、消防指令センターを通じて当該救急事故等の発生した場所を管轄する警察署長に通報し、警察官の出動を要請するとともに、現場保存に留意して救急活動を行うものとする。
(1) 傷病の原因に犯罪の疑いがあると認められる場合
(2) 交通事故の場合
(3) 労災事故の場合
(4) 精神障害により自傷、他害のおそれがある場合
(5) 明らかに死亡している場合
(6) その他隊長が、現場の状況等から必要と判断した場合
(応援隊等の要請)
第22条 隊長は、当該救急隊のみで応急処置、搬送その他現場活動を行うことが困難と判断したときは、応援隊を要請するものとする。
(搬送を拒んだ者の取扱い)
第23条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合には、原則として、これを搬送しないものとする。
(死亡者の取扱い)
第24条 隊長は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合には、これを搬送しないものとする。
(行旅病人等の取扱い)
第25条 消防署長は、行旅病人及行旅死亡人取扱法(明治32年法律第93号)に定める行旅病人又は生活保護法(昭和25年法律第144号)に定める要保護者と認められる傷病者を搬送した場合は、救急事故等が発生した場所を管轄する福祉事務所に要保護傷病者搬送通知書を送付するものとする。
(指定感染症患者等の取扱い)
第26条 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する一類感染症、二類感染症、指定感染症又は新感染症の適用を受ける傷病者(以下「指定感染症患者」という。)及び指定感染症疑似症患者は、原則として搬送しないものとする。
2 隊長は、指定感染症患者と疑われる傷病者を搬送した場合は、隊員及び高規格救急自動車等の汚染に留意し、直ちに感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に従い消毒を行い、この旨を消防署長に報告するとともに、当該傷病者に対する医師の診断結果を確認し、所要の清潔方法及び消毒方法による措置を講じなければならない。
3 隊長は、前項の医師による診断結果が、指定感染症患者であると判明した場合は、速やかに消防署長に報告するとともに、当該救急事故等の発生した場所を管轄する健康福祉事務所長に通報し、必要な指示を受けなければならない。
4 消防署長は、前項の報告を受けた場合は、消防長に報告するものとする。
(関係者等の同乗)
第27条 隊長は、救急活動の実施に際し、必要があると認める場合は、関係者等に必要最少限の人数の同乗を求めることができる。
(医療機関への引継ぎ等)
第28条 隊長は、傷病者を医療機関に収容したときは、傷病者観察記録票に基づき現場の状況、傷病者の状態、応急処置内容、症状の経過その他必要な情報を医師に提供するとともに、当該傷病者の傷病名、傷病程度等について医師の所見を聴取するものとする。
(家族等への連絡)
第29条 隊長は、傷病者の状況により必要があると認めるときは、傷病者の家族等に対し、傷病の程度、状況等を連絡するよう努めるものとする。
(転院搬送)
第30条 転院搬送は、医療機関の要請に基づき、他に適当な搬送手段がない場合に行うものとする。
2 転院搬送は、搬送先医療機関が確保され、医師、看護師、准看護師又は救急救命士の同乗が得られる場合に行うものとする。ただし、傷病者に必要な医療処置を施し、かつ、症状が安定していると認められる場合で、主治医が同乗を要しないと判断したときは、この限りでない。
(高速道路等における救急活動の原則)
第31条 高速道路等における救急活動は、警察官、道路関係者等による通行禁止又は交通整理が行われ、安全が確認された上で行うものとする。
(高速道路等の緊急通行)
第32条 高速道路等においては、中央分離帯を開放して、反対車線に出てはならない。ただし、警察官、道路関係者等の誘導により、安全が確保できた場合は、この限りでない。
2 高速道路等においては、原則として走行車線を逆走行してはならない。
第7章 感染防止対策
(感染防止対策の基本)
第33条 消防長は、傷病者及び救急隊員のウイルス性感染症及びこれと疑われる傷病者の血液、体液及び吐物等(以下「血液等」という。)による感染防止に関し、必要な対策を講じておくものとする。
(感染防止措置)
第34条 救急隊員は、傷病者の応急処置に際しては、ゴム手袋等を着装し、血液等に直接触れない措置を講ずるとともに、感染防止に努めるものとする。
2 隊長は、救急活動中の救急隊員に感染の疑いが生じたと判断した場合は、その旨を直ちに消防署長に報告するものとする。
3 消防署長は、前項の報告を受けた場合は、消防長に報告するものとする。
4 消防長は、救急隊が血液等により汚染したときは、西はりま消防組合職員安全衛生管理規程(平成25年西はりま消防組合訓令第7号)第13条第1項第4号の臨時健康診断を行うとともに、必要により免疫剤の投与を受ける等の措置を講ずるものとする。
(救急自動車等の消毒)
第35条 高規格救急自動車及び救急資器材は、定期、使用後及び緊急に区分し、消毒を励行する。
2 救急活動時に生じた血液等医療廃棄物の処理は、別に定める。
(感染症についての研修)
第36条 消防長は、救急隊員に対し、ウイルス性感染症について専門医による研修を実施し、正しい知識を修得させるよう努めるものとする。
(救急隊員の健康管理)
第37条 消防署長は、救急隊員が身体及び被服を清潔にし、感染しないよう日常の健康管理の指導を行うものとする。
第8章 関係機関との連絡調整
(関係機関との連絡調整)
第38条 消防長は、救急業務に関し医療機関及びその他関係機関と総合的な連絡調整を図るものとする。
2 消防長は、騒じょう、暴動及び抗争事件が予想される場合は、救急事故等発生時における救急活動について、警察機関及び医療機関等とあらかじめ協議しておくものとする。
第9章 報告及び調査
(救急出動の記録)
第39条 隊長は、救急活動を行った場合は、救急活動を行った年月日、傷病者の状態、住所、氏名、年齢及び性別並びに活動概要等所要の事項を救急出動報告書により記録しなければならない。
2 隊長は、応急処置等を行うに際し、医師の指示があった場合には、医師の氏名及びその指示内容を救急出動報告書等に記録しておくものとする。
(報告)
第40条 消防署長は、救急活動の概要等について、消防長に報告するものとする。
2 救急に関する報告は、この訓令に定めるもののほか、救急事故等報告要領(昭和39年自消甲教発第18号)及び火災・災害等即報要領(昭和59年消防災第267号)に定めるところによる。
(救急調査)
第41条 消防署長は、救急業務の円滑な実施を図るため、次に定める事項を調査しなければならない。
(1) 地理及び交通の状況
(2) 関係区域内の医療機関の名称、位置、診療科目その他必要な事項
(3) その他救急業務上必要と認める事項
(救急告示申出病院等の調査)
第42条 消防長は、健康福祉事務所長から救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)第1条に基づく申出又は更新についての意見を求められた場合は、当該申出又は更新に係る病院又は診療所の傷病者受入れ体制及び病床確保状況並びに位置及び構造設備を調査し、回答するものとする。
第10章 雑則
(多数傷病者の救急事故)
第43条 突発的な災害事故により、多数の傷病者が発生した場合における救急業務等に関しては、別に定める。
(救急搬送に関する証明書の発行)
第44条 消防署長は、管轄区域内で救急隊が搬送した傷病者又は関係者等から、救急搬送証明申請書により申請があったときは、当該搬送の事実に基づいて救急搬送証明書を交付するものとする。
2 前項の救急搬送証明書を交付する場合、救急搬送証明処理簿に必要事項を記入するものとする。
附則
(施行期日)
1 この訓令は、平成25年4月1日から施行する。
附則(平成28年3月31日消防長訓令第9号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。